ターンにも種類がいろいろありますが、今回は片足軸で回るピルエットについて。
ピルエットは「回ろうとしないで、立つだけ」。
ここにポイントがあります。
”回ろうとする”ことが、ピルエットを邪魔してしまうからです。
右回りのピルエットなら、送る右腕を一度アラスゴンド(横)に開いたら、そこに左腕を集めながら閉じて、回っている間はアンナバンです。
プリエから立つ動きをやりながら、腕を開いて閉じる。これだけで回ろうとしなくてもたぶん1回転します。
まず、ピルエットの動きのプロセスをおさらいしましょう。
・プレパレーション
・パッセバランスに立つ
・アームスを使って回転する
・そのときにスポットを取る(顔をつける)
・軸足をゆるめておりる
ですね。
プレパレーションから立つ、回り終わっておりるのは”上下の動き”です。
まっすぐな上下の動きになっているほど、傾きやブレがなくなります。
軸足にのってプリエ、そのまま立つのが一番シンプル。
そのためにはまず、自分の軸が背中ではなく”真ん中”を通っていることを思い出しましょう。
脊椎の支えは真ん中をとおっています。
上下の動きは、プリエ〜アップですが、これって脚だけを考えていないでしょうか。
”膝をしっかり伸ばして床を押して立つ”
よく言われますけど、プリエ〜アップは頭のてっぺんまでの全体が上下する動きです。
バランス良く立つ時の大事なポイントは、軸足の上に一番上にある頭をのせること。
プリエのときから、自分の頭の高さに意識を置いてみましょう。
そうすると、プリエで沈み込むのを防げます。
(プリエのとき、意識は上方向って言われますよね!)
4番からだと重心を少し前に移動する必要がありますが、これも頭を軸足にのせるつもりでやると、勢いのつきすぎを防げると思います。
さて、ここまでは立つこと。
ターンする回転の動きは腕がリードしますが、この腕が邪魔していることが多いです。
「回ろう」とする気持ちが強過ぎて、回る前から身構えたり腕を振り過ぎてしまうんですよね。
回ろうとして勢いをつけ過ぎると、腕の基本ポジションから外れて開き過ぎになります。
腕が自分のアンナバンとアラスゴンドのポジションの範囲で動くって大事です。
ダブル、トリプルとなると、その何倍もの力で「回そう」(回ろうじゃなく)として腕ががんばって軸がブレます。
でも、それほど力は要らないと思いますよ。たくさん回れる人って楽そうでしょ。
回転をサポートするもう一つの要素は、顔をつける、スポットを取ること。
正面を見たまま回り始めて、先に顔が正面に戻ってくることですね。
でもこれは顔の動きではなく、”頭の動き”です。
動きは骨、関節で起きていますが、顔という骨は無いですからね!
頭はほっぺから上です。ほっぺより下は首。
首って長いんですよ!
鼻の頭で左右に2cmくらいの短い線を描くように、小さく動かしてみましょう。
鼻と一緒に後頭部も左右に動いていますか?
首に力が入っているとこの小さな動きはうまくいかないし、頭を傾けて回転軸を歪めます。
楽な首とふわっと高いゆらゆらできる頭が、ピルエットの練習にはとても大事です。
でも、回ろうとすると身構えて首にも力が入ってしまうのですよね。
プレパレーションは「かまえ」ではなく、ピルエットの一連の動きの一部です。
そしてピルエットはダンスの一部です。
楽しい気分で、流れを止めることなく動いてみてください。
テクニック練習でそこだけ切り取ると、ついかまえて動きを止めたくなります。
音楽があればそれを聴きながら、ダンスだと思って練習することをお勧めします。
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